会長挨拶

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第一回日本周麻酔期看護学会 会長
一般社団法人 日本周麻酔期看護学会 理事長
聖路加国際大学大学院 周麻酔期看護学臨床教授
聖路加国際病院 麻酔科部長
長坂安子

第一回目の周麻酔期看護学会へようこそおいでくださいました。
この学会の前身は 2015年に始まった PAN (Peri-anesthesia Nurse) Network研究会で、聖路加国際大学大学院の在院生と卒業生、その支援者を束ねる同窓会、親睦の場として始まりました。亡き日野原重明先生と宮坂勝之先生が聖路加の周麻酔期看護学課程を開講したのは2010年4月です。2018年までの4回は宮坂勝之前・特任教授(現・名誉教授)が会長を務められ、周麻酔期看護師と同僚の麻酔科医の意見を汲み、成長を果たしました。そして記念すべき第5回目になる今年は、より体系的とし第一回目の学会としてスタートをきりました。

今回は特に、周麻酔期看護師への麻酔科学の教育の重要性をテーマに選びました。教育には患者に即した麻酔の基礎(臨床薬理学、臨床生理学、病態生理学)と、麻酔科の臨床医師の考え方への理解が中心であり、その両者を踏まえた上で卓越した手技が必要であることを前面にだしています。更に麻酔学の教育は奥が深く、手技に紐づけされた事項や、講義やe-learningでの知識の詰め込みではなく、擬似体験型のシミュレーション教育を含む、いわば麻酔に関する非認知能力の涵養を重視しています。

第一部では、Keynote LectureとしてSouth California大学麻酔科からJohn Anderson-Dam先生にEducation in Anesthesiologyと題して麻酔科学の教育を総括していただきます。
続きまして、日本で麻酔科の看護教育に携わる8つの大学院からそれぞれの視点で「麻酔科に携わる看護師の教育〜なにを目指すか〜」と題しご発表いただき 、一同が理想とする麻酔科看護師の教育についての活発な討論が期待されます。

機械展示では最新鋭の機器をご堪能いただき、それにつづくと電子ポスター展示では周麻酔期看護師から見た臨床研究の発表の場を儲けさせていただいております。

後半の第二部では、小児麻酔の緊急事態に対応する麻酔科医と周麻酔期看護師らが実際にシミュレーションラボラトリーでシナリオを演じ、宮坂清之の解説をとおし会場のみなさまに擬似体験していただきます。

更に特別講演として今回は2演題、厚生労働省とPMDAからそれぞれお話いただきます。まず厚生労働省看護サービス推進室の習田由美子室長には、「〜麻酔に携わる看護師の特定行為研修について〜」と題してご講演いただきます。特定行為は医師の指示書に基づく医療行為で研修期間が施設毎に異なりますが、周麻酔期看護は麻酔科医師の直接指示に基づく医療行為であり、2年間の大学院修士課程の履修が求められます。今回、麻酔領域の特定行為研修の導入の経緯をふくめ、ご聴講いただければ幸甚です。

もう一演題、PMDA安全第一部医療機器安全課の小池和央様には「ISO 80369誤接続防止コネクタ導入について」お話いただきます。日本にも新しい国際規格ISO 80369が導入され、これまでの脊麻、硬麻(神経麻酔)に用いる針と注射器(現在の静脈注射用ルアー規格:以下現規格)は新規格と接続できない仕様となります(非嵌合)。長年使い馴れた万能な針、注射器の円錐状の汎用接続規格(ルアーテーパー)が、誤接続防止のため、次々と用途別に機械的に非互換となるために、現場での混乱が予想されます。切り替えを1年後にひかえ、PMDAも企業の団体もこぞって通知を出注意喚起をしていますが、今回特別に本学会でもくわしくご説明いただきます。

締めくくりには、リフレッシャーコースとして現在麻酔界で最も注目されている4名の演者の先生方をお迎えすることができました。産科麻酔アップデート、循環管理ベーシック、シミュレーション教育と医療機器開発、そして麻酔薬についての最新情報をまとめてご教示いただき、盛りだくさんの1日を終える予定です。

聖路加の周麻酔期看護学の教育は、主体が麻酔科医であるという、世界でも独特なものであり、これは特定看護師、診療看護師他のNPなどとは際だった特徴です。周麻酔期看護教育は、急性期医療の看護師の素養を身につけた者に対する、麻酔科医との協働作業のあり方、危機的状況での麻酔科医の思考、意志疎通のあり方を、看護師教育と合併した画期的な体制をととのえております。
周麻酔期看護師誕生から9年にあたる今年、第一回日本周麻酔期看護学会を存分にお楽しみください。

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